東京をはじめ全国各地で緊急事態宣言の再延長が発表され、変異株による感染者数の下げ止まり・リバウンドも懸念される中、コロナ禍での「オフィスの在り方」を改めて見直す機会とも言えます。
またコロナ対策として完全テレワークが難しい業種・業態であれば、都知事が提唱した働き方「テレハーフ」を検討してはいかがでしょうか?

感染拡大が止まらない緊急事態下におけるオフィスのコロナ対策

従来の新型コロナウイルスの蔓延から、イギリス型やインド型の変異株の感染拡大が増加し、全国的に感染拡大が止まりません。
東京や大阪に加え、愛知、福岡、北海道、沖縄と緊急事態宣言の対象地域が拡大され、緊急事態宣言の延長も検討されています。
政府をはじめ、各都道府県では飲食店の営業時短要請、飲食店やカラオケ店などへのアルコールの提供自粛要請、国民や住民への外出自粛や会食自粛要請、企業へのテレワークの7割実施などを要請しています。

では、実際にオフィスでのテレワーク実施率はどの程度になっているのでしょうか。
報道などの映像で見る限り、現在でも多くの通勤客が主要駅にあふれ、満員電車の傾向が止まらない東京都のケースで見てみましょう。

東京のテレワーク実施率について

2021年5月7日に東京都産業労働局が公表した、2021年4月の東京におけるテレワーク実施調査の結果を見ていきます。
従業員30人以上の都内にある企業のテレワーク実施率は56.6%と、3月後半に実施した前回調査の56.4%に比べて0.2ポイント上昇しました。
テレワークの実施回数については、週3日以上の実施が51.8%と、前回調査の47.4%に比べて、4.4ポイント上昇しました。
一方で、テレワークを実施した社員の割合は49.8%と、前回調査時の56.2%に比べて、6.4ポイントも減少しています。
テレワークを実施した企業はわずかに増えたものの、実際には出社している社員が多く、人の流れが抑えられていなかったことが、感染拡大の一因になったと考えられています。

テレワークが普及しない要因

テレワークが思うように推進できない事情や出勤者が減少しないどころか再び増加しているのはなぜなのでしょうか。

1つにはテレワークのためのシステムなど環境が整えられないことです。
特に中小企業では費用的に厳しい場合や個人情報の保護などセキュリティ対策が追いついていないという現状があります。
事務作業や入力作業、伝票整理や経理システムへの入力など機密情報を多く取り扱う場合、自宅でのセキュリティが不安という側面は否めません。

また新入社員など十分に個人情報保護などの教育指導ができていないケースや、個人差のある倫理観を統一することに難しさもあります。

また、自宅で作業をする場合の環境設定ができるか、家族が業務中に出入りするなど個人情報を見られないか、流出しないかという不安が残ってしまうのです。
カメラを設定してもらって、自宅の映像を映し出しながらテレワークを実施する企業や本人以外がパソコン画面をのぞき込むと暗くなって情報が閲覧できないようなシステムを導入している企業もありますが、すべての企業がそうした環境を用意できるわけではありません。
こうしたリスクや不安がぬぐい切れず、思ったようにテレワークが推進できない企業が多いのが現状です。

テレワークができない場合のオフィスの感染対策

テレワークが進まず、オフィスへの出勤者がいる場合、オフィスではどのように感染防止対策を行えば良いのでしょうか。

主な感染対策としては三密を回避するため、ソーシャルディスタンスを保つこと、換気を行うこと、マスクを着用して会話や接触をなるべく避けること、うがい、手洗いの励行や手指の消毒、ドアノブをはじめ、人が触れる場所の消毒の徹底などが挙げられます。
オフィスにおいても密状態を回避し、ソーシャルディスタンスが保てるよう、座席を離すことやフロアに対して従来よりも座席数を減らすなどの感染対策を採ることも検討しなくてはなりません。
テレワークができないうえ、これまで通り、すべての人が出勤し、密な状態で作業をしていては、たった1人の感染者が出ても、大規模クラスターの発生リスクが否めないためです。
座席を離すなどしたうえで、定期的な換気や窓を常に少し開けておく、空気清浄機や換気機能の付いたエアコンへの交換を行い、二酸化炭素濃度の測定器を導入したうえで、しっかりと空気の入れ替えをしていく必要もあります。

また、飛沫感染を防ぐため、座席は向かい合わないようにし、もし、向かい合う場合にはアクリル板を設置するなどの感染対策も必要です。
休憩時間やトイレ、喫煙室などで近距離での会話は控える、食事は各自一人ひとり取るなどのルール作りとその励行も求められます。

補助金を活用したオフィス環境の整備

わずかな飛沫でも感染力のスピードも速い変異株の感染が拡大する中、オフィスでこれまで通り仕事を行いたい場合には、これまで以上の感染対策が求められます。
向き合いの防止や距離を保てるよう、オフィスレイアウトを変更することやアクリル板の設置や二酸化炭素濃度測定器、換気機能の高い機器の導入などを行うとかなりの手間やコストを負担しなければなりません。
オフィスの環境を整えるための補助金などもありますが、テレワーク環境を整えるうえでも補助金の活用ができます。(例.東京板橋区「ビジネス環境適応事業助成金」、東京都北区「新型コロナウイルス対策設備投資等支援事業」など)

テレハーフの導入

一番避けたいのはオフィスにおけるクラスターの発生です。
社員やパートの健康を守り、クラスター発生による企業の業務停滞や風評被害を避けるためにも、「テレハーフ」の導入も検討してみましょう。

テレハーフとは東京都の小池都知事が提唱した働き方であり、終日のテレワークが難しいのであれば、半日だけや時間単位でテレワークを実施すること、どうしても出勤が必要な業務など出勤者のローテーション勤務などを組み合わせることで、なるべくオフィスでの密を避け、通勤時間帯における密状態を回避させる取り組みを指します。
朝のラッシュを避けて、午前中は自宅でテレワーク、午後から出社といった方式、社員やパートを午前中組、午後組に分けるなども考えられます。
月水金と火木でテレワークする人、出社する人のローテーションを組むなど、可能な限り出社する人数を減らす、朝夕の通勤時間帯に交通機関や駅を利用する人を減らすといった取り組みが求められています。
家事や育児を行っている主婦やママパートは午前中は出社して、午後はテレワーク、遅い時間でも問題ない人は午前中はテレワークで午後に出社など、柔軟に検討してみましょう。

まとめ

コロナ感染拡大をできる限り防ごうと、「テレワーク」「在宅勤務」への切り替えが叫ばれて久しく、それでも収束の目途が立たない状態です。
テレワーク普及が頭打ちになっている昨今、出社半日、テレワーク半日の「テレハーフ」という柔軟な働き方を導入する企業が増えるといいですね。

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