転職回数が多くても、職務経歴書の書き方によっては強みに変えられる可能性があります。書類選考を通過するために、職務経歴書をどうまとめたらよいのか悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
今回は、転職回数が多い場合の職務経歴書の書き方や注意点について、例文を交えて詳しくお伝えします。
転職をサポートしているプロの視点で、転職回数が多くても選考を通過するためのポイントやアドバイスも解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
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転職が多い場合の職務経歴書の書き方【基本形式】
職務経歴書にはいくつかの形式がありますが、転職が多い場合は次のスタイルで書くのがおすすめです。
- 時系列ではなく業務ごとにまとめる「キャリア式」で書く
- 現在から過去にさかのぼる「逆編年体形式」で書く
ひとつずつ見ていきましょう。
時系列ではなく業務ごとにまとめる「キャリア式」で書く
転職回数が気になるときは、時系列ではなく業務内容やプロジェクトごとにまとめる「キャリア式」がおすすめです。「営業」「販売」など携わった仕事の内容別に伝えたほうが、どのような経験を積んできたのかわかりやすくなります。
一般的には時系列で列挙する形式が用いられますが、転職が多いとアピールポイントが埋もれてしまう場合があります。
キャリア式で記載するメリットは、次の3点です。
- 転職回数の多さが目立たない
- アピールポイントがわかりやすい
- 専門的なスキルをまとめやすい
転職回数が多い人のほか、特定の職種で一貫した成果や実績を得ている人や、エンジニアなどの専門的な職種を経験している人にもおすすめの形式です。
現在から過去にさかのぼる「逆編年体形式」で書く
「逆編年体形式」とは、現在から過去にさかのぼる形式で職歴を記載するスタイルです。履歴書などでは古い順に職歴を列挙する「編年体形式」が一般的ですが、最新の実績が先頭にくる逆編年体形式のほうが、直近のスキルをアピールできます。
逆編年体形式で記載するメリットは、次のとおりです。
- 直近の実績やスキルがわかりやすい
- アピール要素が少ない職歴を目立ちにくくできる
転職では直近のスキルが重視されやすいため、逆編年体形式のほうがおすすめです。
転職が多い場合の職務経歴書の書き方【6つのチェックリスト】
転職回数の多さをカバーして選考を通過するためには、次の6つのポイントを押さえておきましょう。
- 一貫した強みを伝える
- 転職した理由や目的をポジティブに伝える
- 転職によってスキルアップしていることを伝える
- 実績や成果は数字を入れて具体的に書く
- 職務要約は応募企業と関連した経験に厳選してまとめる
- 入社後どのように貢献できるのか書く
順に見ていきましょう。
1.一貫した強みを伝える
これまで経験した職種がバラバラでも、一貫したキャリアがあることを企業にアピールすることが重要です。職種にばらつきがあると「採用してもすぐに退職してしまうのではないか」とネガティブな印象を与えてしまうおそれがあります。
しかし、複数の経験の中にブレないひとつの軸があれば、自分の強みとしてアピールできます。たとえば、営業と販売では職種が異なりますが、「正確に相手のニーズをつかむこと」が売り上げにつながるといった共通点があります。
経験してきた職種に一貫する強みを深掘りして、アピールしましょう。
2.転職した理由や目的をポジティブに伝える
退職した理由を記載する欄を設けて、転職の目的を前向きに伝えましょう。転職回数が多くても、企業が納得する理由なら必ずしもマイナスな印象にはなりません。
たとえば、次のような言い換えができます。
人間関係の悪化 ▶ チームで連携して気持ちよく仕事をしたい
ノルマがきつい ▶ 一人ひとりの顧客に寄り添ったやり取りをしたい
給料が安い ▶ 実力主義の会社で正当に評価されたい
そのほか「現職よりも〇〇のスキルを活かせる職場を目指したい」など、理想とする働き方を実現するためであるといった内容であれば、企業側の不安感を払拭させられるでしょう。
退職した企業を批判したり他人を悪く言ったりすると、印象が悪くなるおそれがあるので注意しましょう。
3.転職によってスキルアップしていることを伝える
転職を重ねる中でスキルが磨かれ、成長していることがわかれば、評価は高まります。役職に就いたり年収が上がったりした実績があれば、具体的に記載しましょう。
特別な変化がなくても、前の職場で学んだことや新たに得た知識などを新しい職場で活かせたエピソードを伝えられると、成長していると印象づけられます。
4.実績や成果は数字を入れて具体的に書く
実績や成果は、数字で具体的に伝えましょう。
目標達成率や教育した後輩の人数など、数字で表せるものは数値化すると説得力が増します。事務職であれば、「1日平均〇件の受発注業務を担当」などとアピールできます。
成果を数字で表しにくい職種の場合は、業務を進めるうえで工夫や改善をした点や、改善して得られた利益などについて具体的なエピソードを記載しましょう。
5.職務要約は応募企業と関連した経験に厳選してまとめる
職務経歴書の冒頭に記載する「職務要約」は、企業担当者が最初に目にする部分です。読み進めてもらうためには、導入部分の職務要約を読んで「企業が求めている人材だ」と感じてもらう必要があります。
転職回数が多い場合は、これまでの職歴の中から応募する業種や職種に関連性のある2~3社にしぼって、担当した業務や実績をわかりやすく簡潔にまとめましょう。
募集概要をよく読んで求める人物像を把握し、自分の経歴の中から興味をもってもらえそうな要素を入れこむと、選考を通過しやすくなるでしょう。
6.入社後どのように貢献できるのか書く
これまでに学んだスキルや得た知識を、応募先の企業の実務でどのように活かせるのか記載しましょう。企業担当者は、応募者を採用して得られるメリットを知りたがっています。
単純にスキルや経験を列挙するだけでなく、貢献できることを具体的に売りこむことで、採用後のイメージを印象づけられます。
転職が多い場合の職務経歴書の書き方【サンプル・例文】
職務経歴書には決まったフォーマットはありません。
今回は、転職回数が多い人におすすめの「キャリア式」を用いた職務経歴書の書き方について、例文をまじえて紹介します。
▼職務経歴書サンプル
職務経歴書に記載すべき項目は、以下のとおりです。
- タイトル・日付・氏名
- 職務要約
- 職務経歴
- スキル・資格
- 自己PR
ひとつずつ見ていきましょう。
1.タイトル・日付・氏名
はじめの行の中央に「職務経歴書」と太字で書き、次の行に提出する日の日付を右詰めで記載します。書類内の日付は、西暦か和暦のどちらかに統一しましょう。
日付の下に、応募者の氏名を右詰めで記載します。名字と名前の間に空白を入れると見やすくなります。
2.職務要約
社会人としてのキャリアを、3~4行程度で簡潔にまとめます。経験したすべての職務について言及するのではなく、応募する職種と関連性の高いものをピックアップするとよいでしょう。
多忙な企業の採用担当者に最後まで読んでもらうためには、カギとなる重要な部分です。
3.職務経歴
これまで携わった仕事について詳しく説明します。転職回数が多い場合は、アピールポイントがわかりやすくなるよう、現在から過去へさかのぼる形式にするなどの工夫をしてまとめることが大切です。
一般的には、次の内容を記載します。
- 勤務した会社名
- 勤務期間
- 会社に関する情報(事業内容・資本金・売上金・従業員数)
- 担当した主な業務内容
- 実績
勤務した会社の数が多い場合は、会社に関する情報は省略します。
どんな会社で、何をして、どんな成果を上げたのかがわかるよう、具体的な数字やエピソードを用いて書くと伝わりやすくなります。
転職回数によっては、退職理由を記載しておくのがおすすめです。
4.スキル・資格
入社後に活かせるスキルや知識、保有資格を記載します。
応募企業に関連性のないものは避け、PCスキルなどは習熟レベルがどの程度なのかも書き加えましょう。表や箇条書きでまとめると見やすくなります。
5.自己PR
自己紹介ではなく、これまでの経験で得たスキルや知識、強みをアピールしましょう。
見出しに簡潔なポイントを書いたあとに、詳細を文章で書くと読みやすくなります。ひとつのポイントにつき5行以内でまとめるのが目安です。
職種がバラバラな場合の自己PR例
これまで経験した職種がバラバラな場合は、多くの経験をしたからこそ得られた知識や培った能力などについてアピールしましょう。
企業の求める人物像と、自分が経験の中で得たものとの共通点を深掘りして記載します。
ひとつの職種で専門性を高めるべきだったとも考えますが、さまざまな職場を経験したからこそ培った力もあります。それは、傾聴力とそれを業務に反映させる力です。
販売職ではお客様の動向に合わせた売り場づくりによって年間売り上げ目標の130%を達成しました。営業職では、顧客に丁寧なヒアリングをして顧客の困りごとを解決できるものを厳選して提案した結果、契約数の前年比120%拡大に貢献しました。
これらの経験をもとに、一人ひとりのお客様のニーズを正確につかむことで貴社に貢献したいと考えております。
プロに聞く!職務経歴書の書き方のアドバイス
人と企業のマッチングのプロ「はたかなキャリアアドバイザー」に、採用率を上げる職務経歴書を書くうえで重視すべき点を聞きました。
キャリアアドバイザー
【担当業務】【実績】【自己PR】にどれだけ熱量を込められるかが大事!
▼ここをチェック
・数字で表せるものは数値化して示す
・キレイにまとめるより自身がやってきたことを濃く書く
・箇条書きは悪くないが熱量を感じにくい
・改行を加えて読みやすくする
経験を「濃く」伝えるために、次の視点をもとう!
■何を、どのように、どのような目的で、どこまでやったか
■業務内容は作業として捉えず、周りとどう関わって何を実現してきたか
■PCスキルだけでなく自身が具体的にどのように立ち回ったか
転職が多い場合の職務経歴書の注意点
転職回数が気になる場合、職務経歴書の書き方で注意したい点は、次の3つです。
- 職歴を省略しない
- 3枚以内にまとめる
- 応募する企業に合った自己PRを書く
それぞれ見ていきましょう。
職歴を省略しない
勤務した会社は、省略せずにすべて記載しましょう。
雇用保険などから経歴詐称が判明すると、採用の取り消しや解雇となるケースもあります。転職回数が多くても、アピール方法によっては印象を変えられる可能性があります。
省略せず、書き方を工夫するようにしましょう。
3枚以内にまとめる
職務経歴書は、多くても3枚以内にまとめましょう。
職務内容ごとに記載するキャリア式であれば、アピールすべき点に重きをおいてコンパクトにまとめられます。伝えるべきポイントが目にとまりやすくなるよう、的をしぼって売りこみましょう。
応募する企業に合った自己PRを書く
自己PRではこれまでの職歴の中から、応募企業が求めているスキルをアピールする必要があります。
企業側は、応募者が自社でどのような貢献をしてくれるのかを知りたいので、募集概要などをもとに求められている人物像について把握しておくことが大切です。最適なアピールポイントを選んで、自分の言葉で伝えましょう。
転職が多い場合の職務経歴書に関するQ&A
転職回数が多いケースでよくあるQ&Aについてまとめました。
転職が多いと不利になる?
転職回数が多くても、企業が求める能力があると判断されれば選考を通過できます。応募先の企業が納得できる理由であれば、前向きな印象に捉えられるケースもあります。
転職の回数が、一概に悪影響を及ぼすわけではありません。
パート・アルバイトも職務経歴書に記載すべき?
一般的にパートやアルバイトは、職務経歴書に記載する必要はありません。職務経歴書に記載が必要なのは、正社員、契約社員、派遣社員です。
ただ、応募する職種がこれまでのパート・アルバイトで経験した職種であるなど、アピールするうえでプラスに働くと考えられる場合は記載してもよいでしょう。
パート・アルバイトの職歴を省略すると空白の期間が生まれてしまうときも、記載しておくほうがマイナスな印象を与えずに済みます。
転職が多くても採用される人の特徴
人と企業のマッチングをサポートしている「はたかなコンシェルジュ」に、転職回数が多くても採用される人の特徴について聞きました。
転職回数が多くても採用される人の特徴は、次の2つです。
- ひとつの会社に長く勤めた実績がある
- 前向きな理由や目的がある
キャリアアドバイザー
転職を繰り返していてもひとつの会社に長く勤めていた実績があれば、ネガティブな印象はもたれにくいです。
逆に1社1社の勤務期間が2年未満などと短いと、不安視される可能性があります。
ただし、転職の理由がキャリアアップや多くの経験を積むためなど、前向きな目的があるなら見え方は変わってきます。実際に話してみて、ブレない軸があると感じられれば転職回数は気になりません。
前向きな理由に言い換えようとする思いばかりが先走って、それぞれの転職理由に矛盾が生じてしまう人は不信感を抱かれてしまうケースもあるので、注意が必要です。
企業側が気にするのは転職回数よりも、「勤務期間」や「転職理由」といえます。
転職の多さを武器にした職務経歴書を作ろう
転職回数が多くても、職務経歴書の書き方によっては経験の多さを強みに変えられます。これまでの職歴や実績を深掘りして、企業の求める人材像にフォーカスしたアピールポイントを売りこむことが重要です。
過去の経験を洗いだしてPRすべきポイントをしぼりこみ、転職回数の多さを武器にした職務経歴書を作りましょう。
転職を成功させるなら「はたかな」へ
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