「都会の喧騒から離れて自然豊かな地方に移住したいけれど、仕事はどうしたらいい?」
地方移住に関心のあるものの、移住後の仕事をどうしたら良いのか、お悩みの方は多いでしょう。移住先の地元企業に転職するのか、フルリモートが可能な職種に転職するのか、選択肢はさまざまです。
そこで今回は、地方移住を実現させるための仕事の選び方や具体的な探し方、チェックポイントについて紹介します。フルリモートが可能な仕事や、地方移住に成功した人の経験談も紹介しますので、ぜひ参考にご覧ください。
地方移住するときの仕事の選択肢
内閣府の調査によると、東京都23区在住で働く人の5割以上が地方移住に興味をもっていることがわかっています。
地方に移住するときの仕事の選択肢は、大きく分けて次の5つが挙げられます。
- フルリモートで働ける仕事に転職する
- 独立・起業する
- 地元企業に転職する
- 農業・林業の仕事をする
- 地域おこし協力隊に参加する
それぞれについて、メリット・デメリットを見ていきましょう。
参考:内閣府地方創生推進室
フルリモートで働ける仕事に転職する
場所を選ばず働けるフルリモートの仕事は、住む場所にとらわれず働けます。給与水準の高い都市圏内の企業に在籍しながら地方に移住できるのも、フルリモートの仕事を選ぶメリットです。
メリット
- 住む場所を自由に選べる
- 都市部と同等の給与を維持できる可能性がある
- 通勤時間がかからない
デメリット
- コミュニケーションがオンライン中心となる
- 業種や職種が限られる
- 自己管理能力が求められる
フルリモート可能な仕事へ転職するなら、移住前に転職活動を始めることをおすすめします。現在の勤務先でフルリモート勤務が可能かどうか、交渉してみるのもひとつの方法です。
独立・起業する
地方移住を機に、独立や起業を選択する人も少なくありません。地方ならではのビジネスチャンスを見つけたり、都会では難しいチャレンジができたりする点が魅力です。
メリット
- 自分のペースで働ける
- 地域資源を活かしたビジネスができる
- 起業支援制度を活用できる場合がある
デメリット
- 安定した収入を得るまでに時間がかかりやすい
- 経営スキルや専門知識が必要
- 一定のリスクを負う必要がある
独立・起業を考える場合は、必要な資金や知識を準備しておくことが大切です。地方自治体の起業支援制度が利用できるかも事前に調査しておきましょう。
地元企業に転職する
移住先の地元企業への転職も選択肢のひとつです。地域に根差した仕事に就くことで、その土地の人々や文化とのつながりを深められます。
メリット
- 地域のコミュニティに溶け込みやすい
- 地元で人脈が広げやすい
- 地域の発展に貢献できる
デメリット
- 都市部に比べると給与水準が低い傾向にある
- 選べる職種や企業が限られる
- キャリアアップの機会は少ない場合がある
地元企業への転職は、地域の雇用状況を調査し、自分のスキルや経験がどのように活かせるか考慮して検討しましょう。
農業・林業の仕事をする
自然豊かな環境を求めて地方移住を考える方の中には、農業や林業などの第一次産業に関心がある方も多いでしょう。ゼロから起業する、農業や林業事業を営む企業、森林組合に就職するなど、複数の手段があります。
目標を明確にするために、自治体やJAグループが行っている就農支援、厚生労働省による林業就業支援講習などを活用して、技術や知識を学ぶのも有効です。
メリット
- 自然と触れながら働ける
- 自分で手がけた作物や産品に達成感を得られる
- 地域によっては支援制度が充実している
デメリット
- 技術の習得や初期費用に時間がかかる
- 天候によって収入が変動する
- 体力が必要
地域おこし協力隊に参加する
「地域おこし協力隊」とは、都市部から人口が減少している地域に移住し、地域おこし活動に従事しながら、その地域の活性化や人口増加を図る取り組みです。
活動内容は、観光の魅力を伝えたり、農業をサポートしたりなど、さまざまです。
メリット
- 一定期間、年間約300万円程度の報酬がある
- 住居費などの支援を受けられることが多い
- 地域に入り込む足がかりになる
- 任期終了後に、起業や就職の支援を受けられる
デメリット
- 原則として任期が決まっている(最長3年)
- 地域やプロジェクトによって活動内容が異なる
- ミスマッチが生じるケースがある
注意したいのは、自治体と応募者の間でニーズのギャップが生じる可能性がある点です。自治体が地域おこしの目的や手段を明確にしておらず受け入れ体制に不備があるケースや、応募者が地域の課題解決への意欲がなく、ただ田舎暮らしを求めて応募していたケースなどでは、ミスマッチが生じる場合もあります。
地域によっては2泊3日程度でおためし体験ができる企画や、2週間〜3か月の長期滞在で実際に業務にあたるインターンもあります。興味のある自治体に問い合わせてみましょう。
参考:(一社)移住・交流推進機構「地域おこし協力隊」「おためし・インターン制度とは?」
地方移住して働くメリット
地方に移住して働くメリットは、次の3つが挙げられます。
- 生活費を削減できる
- 通勤ラッシュを避けられる
- 自然豊かな場所で過ごせる
それぞれについて見ていきましょう。
生活費を削減できる
地方で生活するメリットのひとつは、都会と比べて大幅に生活費を抑えられることです。特に住居費の差は大きく、地方では東京都心のワンルームマンションの家賃と同等の価格で、庭付き一戸建てに住める場合も少なくありません。
食費や娯楽費も都市部に比べると安価な傾向があり、同じ収入でもより豊かな生活が送れる可能性が高いでしょう。生活費の削減によって、貯蓄を増やしたり、労働時間を減らしたりと、経済的、時間的なゆとりをもった暮らしが送れます。
通勤ラッシュを避けられる
満員電車での通勤から解放されることも、地方移住の大きなメリットです。フルリモートワークなら移動はゼロ、地元企業に勤める場合でも、都市部のような満員電車で通勤するストレスを軽減できるでしょう。
通勤に費やしていた時間も、家族との時間や趣味、スキルアップのためのインプットタイムなどに使えます。
自然豊かな場所で過ごせる
都会の喧騒から離れ、四季の変化を身近に感じられる豊かな自然の中で生活できる点も大きな魅力です。子育て世代にとっては、自然に触れながら子どもを伸び伸びと育てられるのも大きなメリットでしょう。
地方移住するときの仕事の探し方4選
地方移住を実現するための仕事の探し方は、主に次の4つです。
- 転職エージェントに依頼する
- ハローワークを利用する
- 移住応援フェアなどのイベントに参加する
- 自治体運営の移住求人サイト・相談窓口を利用する
ひとつずつ見ていきましょう。
転職エージェントに依頼する
自分に合った仕事を効率良く探すなら、転職エージェントが最適です。面談を通して、自分のスキルや希望に合った求人を紹介してもらえます。面接のアドバイスをもらえたり、内定した後も条件について企業に交渉をしてもらえたり、求人紹介以外のサポートも受けられます。
地方の地元企業に転職したい場合は、地域とつながりがある地域密着型の転職エージェントの活用もおすすめです。大手の転職エージェントに比べると求人数は少なめでも、地元特有の情報や大手にはない非公開求人をもっているケースもあります。
複数の転職エージェントを併用することで、転職活動をより効率的に進められるでしょう。
ハローワークを利用する
ハローワーク(公共職業安定所)の活用も有効です。全国のハローワークはネットワークで結ばれているため、今住んでいる地域で移住先の求人情報も検索できます。就職に活かせる知識やスキルを無料で習得できる職業訓練などの支援が得られるのも魅力です。
東京や大阪には「地方就職支援コーナー」が設置されており、移住のための就職に特化したサポートが受けられます。
参考:厚生労働省「地方就職支援コーナー」
移住応援フェアなどのイベントに参加する
各地で開催される移住応援フェアなどのイベントは、複数の自治体が一堂に会し、求人情報だけでなく暮らしに関する情報も収集できる貴重な機会です。自治体の担当者から地域のリアルな話を聞けたり地元企業の思いを知れたりと、インターネットでは得られない情報を得られます。
地域や地元企業と直接つながりをつくれる絶好の機会です。
自治体運営の移住求人サイト・相談窓口を利用する
多くの自治体では、移住者向けの専用サイトや相談窓口を設けています。地域特有の求人情報や支援制度など、公式の情報を得られます。移住相談窓口では、仕事だけでなく住まいや教育、医療など生活全般についての情報収集も可能です。
現地を訪れて対面で相談する方法以外にも、オンライン相談や都市部での出張相談会を開催している自治体もあります。
仕事は移住前に探すのがおすすめ
地方移住を成功させるためには、移住前に転職先を決めておくのがおすすめです。移住前に職場を決めておくメリットは、次の3点です。
- 生活費を確保できるので不安なく暮らせる
- 地方での暮らしになじみやすい
- 支援金を受けられるケースもある
移住とともに無収入期間が生じると、不安を抱えて新生活をスタートさせることになります。特に家族がいる場合は、安定した収入源を確保してから移住するほうが安心でしょう。
仕事を通じて地域コミュニティとつながっておくと、新しい土地になじみやすくなる点もメリットといえます。「移住者」としてよりも「同僚」や「仲間」として接するので、地域の人との距離が縮まりやすくなります。
地域によっては、移住支援金や起業支援金を受けられる可能性もあります。現在東京23区に在住または通勤していて、地方へ移住して就業や起業をする人を対象に、都道府県・市町村が共同で交付金を支給する制度です。
こうした制度は自治体によって異なるため、希望する地域が実施しているか、支援金や補助金交付の条件などについて、移住前に確認しておきましょう。
参考:内閣府地方創生推進事務局
地方移住で仕事を選ぶときにチェックしたいポイント
地方移住での仕事選びでチェックしておきたい点は、以下の3つです。
- 必要な生活費を得られるか
- 移住した目的に合った生活スタイルが送れるか
- 将来の生活やキャリアを視野に入れているか
順に見ていきましょう。
必要な生活費を得られるか
地方に移住すると生活費は減少する傾向にありますが、安定した収入は必要です。仕事を選ぶ際は、移住後の生活費をすべて計算しておきましょう。
- 住居費(家賃または住宅ローン)
- 食費
- 日用品費
- 光熱費
- 通信費
- 交通費(車の維持費を含む)
- 教育費
- 医療費
- 娯楽費 など
多くの地方では移動に車が欠かせないため、車の維持費も考慮する必要があります。必要な生活費を下回らない収入を得られるか検討しましょう。
移住した目的に合った生活スタイルが送れるか
そもそも、なぜ地方移住をするのか、目的に合った生活スタイルが送れるか、検討しましょう。例えば、それぞれの目的によって、着目すべきポイントは異なります。
自然を楽しみたい場合
- 休日や仕事後に自然と触れ合える時間的な余裕はあるか
- 季節の変化を感じられる環境で働けるか
家族との時間を大切にしたい場合
- 勤務時間や通勤時間に負担はないか
- 休日は確保されているか
趣味や副業に励みたい場合
- 時間的・精神的な余裕をもてそうか
- 勤務先で副業が認められているか
移住後の満足度を高められるよう、移住の目的を明確にし、それを実現できる仕事かどうかを判断しましょう。
将来の生活やキャリアを視野に入れているか
地方での仕事選びでは、中長期的なキャリアや暮らし方も視野に入れておく必要があります。スキルアップの機会はあるか、将来的なキャリアパスは見えるか、などを確認しておきましょう。
年齢を重ねても暮らしやすい環境かどうか検討するために、医療や介護などの施設やサービスが整っているかもチェックしておくと安心です。
地方移住におすすめのフルリモートが可能な仕事4選
地方移住と相性が良い、フルリモートが可能な職種を4つ紹介します。
- ITエンジニア
- Webデザイナー
- Web・SNSマーケター
- ライター
ITエンジニア
ITエンジニアの仕事内容は企業によって異なりますが、ソフトウェアやアプリケーションの開発、システムの設計・構築・運用などを行います。
ITエンジニアは需要が高く、高収入を得られる可能性もあるため、地方移住後も都市部と同等の収入を維持しやすいのが特長です。
キャリアの作り方
- プログラミングスクールなどで基礎スキルを習得する
- 未経験でも応募可能な案件を探し、実績を積む
- ポートフォリオを作成し、実績をアピールする
- フリーランスエンジニアとしての独立も視野に入れる
Webデザイナー
クライアントの要望に応じて、Webサイトの構造やレイアウトの設計、デザインの制作などをします。Webデザイナーも、多くの企業でリモートワークが導入されています。
キャリアの作り方
- デザインツールなどの操作を習得する
- 作品を制作しポートフォリオを構築する
- 未経験でも応募可能な案件を探し、実績を積む
- SNSなどで作品を発信しクライアントを獲得する
Web・SNSマーケター
Web・SNSマーケターは、商品やサービスの販売促進や認知拡大を図るために、Web広告の運用やSNSを活用したマーケティング業務を行います。オンラインで完結できる仕事なので、住む場所を選ばない職種です。
キャリアの作り方
- Web広告やSNS運用の基礎知識を習得する
- 実務経験を積みながら専門性を高める
- 特定の業界に特化した専門家を目指す
ライター
Webコンテンツやブログ記事などの執筆をするライターも、場所に縛られない職業のひとつです。地方ならではの題材や視点を活かした記事を書くことで、地域に密着したライターとして価値提供できる可能性もあります。
キャリアの作り方
- クラウドソーシングなどに応募して実績を積む
- 得意分野を見つけて専門性を高める
- 継続的に仕事を依頼してくれるクライアントを獲得する
沖縄への地方移住を成功させた方の体験談
ここでは、Webデザイナーに転職し、移住を成功させた方の事例をご紹介します。
移住によって満員電車を回避し、豊かな自然の中での子育てと仕事の両立をかなえたAさんの例です。
◇家族構成
夫、小学生の娘2人
◇居住先
沖縄県
◇現在の働き方
Webデザイナー、フロントエンドエンジニア × リモートワーク × 会社経営
◇経緯
東京都内で正社員として某上場アパレル企業で勤務
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フルリモートで働けるWeb制作を独学で学ぶ
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フリーランスに転身
▼
会社設立
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家族で沖縄へ移住
某上場アパレル企業で正社員として働いていたAさん。勤務先の就業規則に「子どもが3歳以上の場合、時短勤務は不可」といった規定があったため、育児との両立が難しくなり退職を決意しました。
その後、派遣の仕事で働く傍らで、「Web制作」という全く未知の分野を独学で勉強し、フリーランスに転身。3年後には会社を設立し、子どもが小学校に入学するタイミングで沖縄への移住を実現しました。
地方移住で仕事を探すなら「はたかな」へ
地方移住を成功させるためには、安定した仕事を探すことがカギとなります。人材派遣・紹介サービス「はたかな」では地方移住を実現させるために転職を希望する方のご希望に合わせ、求人をご紹介し、最適な働き方を見つけられるよう伴走します。
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