クラウド技術の普及により、クラウドエンジニアの需要は急速に高まっています。未経験でもクラウドエンジニアへの転職は十分可能ですが、具体的な手順やキャリアアップの方法が気になるところですよね。

今回は、クラウドエンジニアになるための具体的なロードマップを5つのステップに分けて紹介します。キャリアアドバイザー監修のもと、年収アップの方法や、多様なキャリアパス、自己PRの方法まで詳しく解説しますので、クラウドエンジニアへの転職を検討中の方は参考にご覧ください。

クラウドエンジニアの仕事内容や必要なスキルなどについて知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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クラウドエンジニアは未経験でも目指せる?2つのスタートライン

クラウドエンジニアを目指すには、現在の状況に合ったアプローチが必要です。次の2ケースの最適な始め方について紹介します。自分の現在地に合った最短ルートでクラウドエンジニアを目指しましょう。

  •  IT業界未経験の場合
  • インフラ経験がある場合

それぞれ見ていきましょう。

IT業界未経験の場合

IT業界未経験でも、クラウドエンジニアへの転職は十分可能です。IT業界での経験がまったくない場合は、まずはネットワーク、サーバー、データベースなど、ITの基本概念を理解することから始めましょう。オンライン学習サイトや書籍を活用し、基礎知識を身につけます。スクールやオンライン講座などでLinuxコマンドやネットワークの仕組みを動画や演習で学び基礎を固めましょう。

知識をインプットしたうえで、AWSやAzureの無料枠を使って実際にクラウドサービスに触れるとサーバーを動かす感覚を身に付けられます。

費用や時間の問題で十分な学習ができない方も少なくないでしょう。「はたかな」では、IT業界未経験の方でも、エンジニア職の正社員として就職できるお仕事をご紹介しています。スクールに通わず、働きながら研修でスキルを身につけられ、現場で成長していける環境です。ぜひ「はたかな」へご相談ください。

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インフラ経験がある場合

インフラエンジニアとしての経験がある場合は、これまで培ってきた「設計・構築・監視・バックアップ」などの知識をそのままクラウドへ転用できます。実務に直結させるためには、まず自分の担当システムをクラウドで再現してみましょう。

AWSの無料枠を利用し、起動から設定完了までのレポートを作成すると、それ自体がポートフォリオになります。既存の知識があるため、クラウドエンジニアの転職もスムーズに進みやすいでしょう。

クラウドエンジニアになるためのロードマップ 5つのステップ

クラウドエンジニアになるためのロードマップをまとめました。

  • STEP1 ITの基本を知る
  • STEP2 クラウドに触れてみる
  • STEP3 入門資格を取得する
  • STEP4 ポートフォリオを作成する
  • STEP5 求人に応募する

5つのステップを順に見ていきましょう。

STEP1 ITの基本を知る

まずはITの基礎知識を身につけることが第一歩です。クラウドやネットワークの仕組み、主要サービスの動きなどを学びます。特にTCP/IPやHTTP、DNSなどのプロトコル、Linux操作、セキュリティの基本概念は必須知識です。

これらの知識は、クラウドサービスを理解し活用するうえでの土台となります。書籍やオンライン学習サイトを活用して、体系的に学習することをおすすめします。

STEP2 クラウドに触れてみる

基本的な知識を身につけたら、実際にクラウドサービスに触れてみましょう。AWS、Microsoft Azure、Google Cloudなどの主要なクラウドプラットフォームでは、無料枠を提供しています。まずは仮想マシンを立ち上げて、Webサーバーを構築する、データベースを作成してアプリケーションと連携させるなど、基本的な操作を実践してみましょう。

手順をスクリーンショットなどで残しておけば、あとで再利用できるほか、資格学習やポートフォリオづくりの土台にもなります。

STEP3 入門資格を取得する

実践経験を積んだあとは、資格を取得してスキルを客観的に証明しましょう。「AWS認定クラウドプラクティショナー」「Microsoft認定 Azure Fundamentals(AZ-900)」などの入門レベルの資格がおすすめです。

これらの資格は、クラウドの基本概念、主要サービス、料金体系、セキュリティの基礎などを幅広くカバーしています。資格勉強を通じて知識の穴を埋め、転職活動では客観的なスキル証明として活用できます。計画的に学習を進めて、合格を目指しましょう。

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STEP4 ポートフォリオを作成する

知識と資格を獲得したら、それらを活用してポートフォリオを作成します。実際のWebアプリケーションをクラウド上にデプロイする、インフラをコード化(Infrastructure as Code)して管理する、監視・ログ収集システムを構築するなど、実用的なプロジェクトに取り組みましょう。GitHubでソースコードを公開し、目的、使ったサービス、費用の目安、構成図などを記載することで、技術力と問題解決能力をアピールできます。

採用担当者が理解しやすい形で成果を示しましょう。

STEP5 求人に応募する

いよいよ転職活動を開始します。クラウドエンジニアの求人は、SIer、Web系企業、スタートアップ、コンサルティング会社などさまざまな業界で募集されています。求人のレベルは未経験歓迎のものから、一定程度の経験を求めるものまで幅広いため、自分のスキルレベルに合った企業を選びましょう。

履歴書・職務経歴書では、これまでの学習成果、取得した資格、作成したポートフォリオを効果的にアピールし、面接では技術的な質問に答えられるよう準備を整えて臨むことが成功のカギです。

クラウドエンジニアとして年収アップするためのロードマップ

クラウドエンジニアとしてキャリアをスタートしたあとは、さらなるスキルアップと年収向上を目指しましょう。市場価値を高め、高単価案件を獲得するためのロードマップを紹介します。

  • STEP1 上級資格を取得してスキルを証明する
  • STEP2 自動化して短時間で成果を出す
  • STEP3 コストを削減する
  • STEP4 高単価案件に挑戦する

順に見ていきましょう。

STEP1 上級資格を取得してスキルを証明する

上級資格の取得によって、年収アップを目指せます。「AWS認定ソリューションアーキテクト(プロフェッショナル)」「Microsoft認定 Azure Solutions Architect Expert」「Google Cloud認定プロフェッショナルクラウドアーキテクト」などの資格は、市場での評価が高く、年収に直結します。

これらの資格は、複雑なシステム設計、セキュリティ要件の実装、コスト最適化など、実務で求められる高度なスキルを証明できます。資格手当が支給される企業も増えているため、転職時の年収交渉でも有利になるでしょう。

STEP2 自動化して短時間で成果を出す

「Infrastructure as Code(Terraform、CloudFormation)」や「CI/CDパイプライン(Jenkins、GitHub Actions)」などを駆使して、手作業をできるだけ削減し自動化させましょう。自動化によって短時間で高品質な成果を出せば、企業からも高く評価されます。

作業効率の向上は残業時間の削減にもつながり、ワークライフバランスの改善と年収アップの両方をかなえられます。

STEP3 コストを削減する

クラウドコストを最適化するスキルは、企業の利益に直結するため高く評価されます。リザーブドインスタンスやスポットインスタンスの活用、不要リソースの自動削除、インスタンスサイズやストレージクラスの見直しなど、さまざまな手法でコストを削減しましょう。

月間数十万円から数百万円のコストを削減できれば、企業にとって大きな価値となります。コスト最適化の実績は、昇進や転職時の年収交渉で、具体的な成果として強くアピールできる材料になります。

STEP4 高単価案件に挑戦する

スキルが身についたら、より高単価案件に挑戦しましょう。大手企業のクラウド移行プロジェクト、金融・医療などの規制業界でのセキュアなクラウド構築、マルチクラウド環境の設計・運用など、専門性が高く責任の大きい案件は高報酬が期待できます。

フリーランスとして独立する選択肢もあります。ただし、高単価案件では高度な技術力と問題解決能力が求められるため、継続的な学習と実践経験の蓄積が不可欠です。

クラウドエンジニアのキャリアパス

クラウドエンジニアには、次のようなキャリアパスがあります。

  • 専門職で技術を極める
  • チームリーダー/マネージャーになる
  • コンサル・プリセールスへ広げる

自分の適性に応じて選択できます。それぞれで求められるスキルや経験は異なるため、早めに方向性を定めておくと計画的にキャリアを重ねられます。

専門職で技術を極める

技術を探究し、専門職として突き抜ける道です。クラウドアーキテクト、セキュリティエンジニア、DevOpsエンジニア、データエンジニアなど、特定領域で深い専門知識を持つスペシャリストとして活躍できます。

最新技術の動向を常にキャッチアップし、複雑な技術課題を解決する能力を磨くことで、市場価値の高いエンジニアになれるでしょう。大手IT企業やコンサルティングファームでは、技術専門職としての高報酬が期待できます。

チームリーダー/マネージャーになる

技術力に加えてリーダーシップも発揮したい方は、マネジメント職への道があります。プロジェクトリーダーから始まり、チームマネージャー、部門責任者へとステップアップしていきます。技術的な判断力に加えて、メンバーの育成、プロジェクト管理、予算管理など、幅広いスキルが求められます。

マネジメント経験を積むことで、より大きな責任と権限を持つポジションに就け、年収も大幅にアップする可能性があります。将来的には技術部門のトップを目指すことも可能です。

コンサル・プリセールスへ広げる

技術力とコミュニケーション能力を活かして、コンサルティングや営業支援の分野に進むキャリアパスもあります。ITコンサルタントとして顧客の課題解決を支援したり、プリセールスエンジニアとして技術的な提案活動を行ったりします。

顧客との直接的な関わりが多く、ビジネス視点での技術活用や、複雑な要件の整理、提案などが主な業務です。高いコミュニケーション能力と幅広い技術や知識が必要ですが、成果に応じたインセンティブも期待できます。

【関連記事】エンジニアのキャリアパスは?おすすめのスキルアップ方法も解説

キャリアアドバイザー直伝!面談を通過する自己PR

「はたかな」キャリアアドバイザー 酒井陽子さんが、クラウドエンジニアへの転職活動で、面談を通過するためにアピールすべきポイントについて解説します。

1.具体的な成果と数値で実績をアピール
技術的なスキルを具体的な成果と結びつけて説明することがポイントです。単に「AWSが使える」ではなく、「AWSを活用してインフラコストを30%削減し、システムの可用性を99.9%まで向上させました」のように、数値を交えた実績でアピールしましょう。自分の技術が、企業の利益にどのように貢献できたのかを明確に示す必要があります。

2.学習意欲と成長性を証明
次に、学習意欲と成長性をアピールしましょう。クラウド技術は急速に進歩するため、継続的に学習する姿勢が欠かせません。取得した資格など、自主的に学習した内容を具体的に挙げて、新しい技術に積極的に取り組む姿勢や適応力を示しましょう。

3.問題解決能力や総合的な人材価値をアピール
過去に直面した技術的な課題を「課題 → 解決策 → 結果」の流れで整理し、論理的思考力と実行力を証明することも大切です。また、技術的な専門性だけでなく、コミュニケーション能力やチームワークなど、総合的な人材価値をアピールしましょう。

クラウドエンジニアに向いている人

自分がクラウドエンジニアに向いているかどうかを判断する際の参考として、適性のある人の特徴を紹介します。技術的なスキルは学習によって身につけられますが、本来もつ適性や志向性も大きな影響を与えます。それぞれ見ていきましょう。

コツコツ積み上げるのが得意

クラウドエンジニアには、継続的な学習と着実なスキル向上が不可欠です。新しいサービスのドキュメントを読み込んだり、設定をひとつずつ検証したり、障害発生時の原因を地道に調査したりする作業が日常的に発生します。華やかさよりも確実性を重視し、基礎から積み上げて確実な成果を出すことに喜びを感じる方は、クラウドエンジニアに適しています。

また、資格取得や技術検証など、長期的な目標に向けて計画的に取り組める忍耐力もクラウドエンジニアに欠かせない要素です。地味な作業でも手を抜かず、品質にこだわる姿勢が求められます。

人と話すのが好き

クラウドエンジニアには、高いコミュニケーション能力が求められます。開発者、システム管理者、プロジェクトマネージャー、顧客など、さまざまな立場の人と連携して仕事を進める必要があるためです。実際の業務では、技術的な内容をエンジニアではない職の人に分かりやすく説明したり、要件をヒアリングして最適なソリューションを提案したりする機会が多くあります。

チームでの協働を楽しみ、相手の立場に立って物事を考えられる方は、クラウドエンジニアとして適しているでしょう。

新しい技術を習得することを楽しめる

クラウド技術は速いペースで進歩しており、常に新しいサービスや機能がリリースされています。この変化を楽しみとして捉えられる方は、クラウドエンジニアに最適です。

従来の方法に固執せず、より効率的で革新的なソリューションを常に模索する柔軟な思考も求められます。技術の進歩を自分の成長の機会として積極的に捉え、学習を継続できる方は周囲から長期的に重宝されるでしょう。

クラウドエンジニアのロードマップについてよくある質問

クラウドエンジニアを目指す方から寄せられる質問について、「はたかな」キャリアアドバイザー 酒井陽子さんが回答します。

Q. 最も取得しやすい資格は?

IT業界未経験者が最も取得しやすいのは「AWS認定クラウドプラクティショナー」です。技術的な実務経験がなくても、クラウドの基本概念、主要サービス、料金体系を理解していれば合格を目指せます。試験時間は90分、65問の選択式で、合格ラインは70%程度とされています。公式の無料デジタルトレーニングが充実しており、1~2か月の学習期間で合格が可能です。

「Microsoft認定 Azure Fundamentals(AZ-900)」も同レベルで取得しやすく、複数のクラウドプロバイダーの知識を広げたい方におすすめです。これらの入門資格で基礎を固めてから、より専門的な資格に挑戦しましょう。

Q. クラウドエンジニアの平均年収はいくら?

クラウドエンジニアの年収は経験や担当領域によって大きく異なりますが、未経験から始めた場合でも比較的高い水準が期待できます。未経験・初級レベルでは400万~600万円、3~5年の経験を積むと600万~800万円とされています。

Q. 英語が苦手でも大丈夫?

英語が苦手でもクラウドエンジニアとして働けます。多くの主要なクラウドサービスは日本語のドキュメントが充実しており、資格試験も日本語で受験できます。ただし、最新の技術情報や詳細な技術仕様は英語で公開されるケースが多いため、翻訳ツールを活用しながら少しずつ慣れていくことがおすすめです。

クラウドエンジニアを目指すなら「はたかな」へ

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まとめ:理想のクラウドエンジニアへ踏み出そう

クラウドエンジニアは、未経験からでも目指せます。まずはオンライン学習サイトやスクールなどで基礎を学び、クラウド環境での実践例をポートフォリオとして公開しましょう。
こうして求人に応募する方法以外にも、正社員として入社後に研修でスキルを磨いていく方法もあります。将来描きたいキャリアを意識しながら計画を立て、理想のクラウドエンジニアへの道を進みましょう。