SESは「システム・エンジニアリング・サービス」の略称で、ITエンジニアをクライアント企業に派遣して技術を提供するサービスです。
10年ほど前から需要が伸びて来た仕組みですが、近年IT人材を必要とする企業が急増したことを受け、再び注目されるようになってきました。
ここでは、SESの仕組みをおさらいするとともに、メリットや押さえておくべきポイント、法的に注意すべき点などについて解説します。

1.SESとは?

SESとは「システム・エンジニアリング・サービス」の略称です。
システム開発やインフラ環境構築・運用などの技術を持つエンジニアをクライアント企業へ派遣し、技術提供を行うビジネスモデルです。
派遣されたエンジニアは契約に基づきクライアント企業のIT業務を遂行し、クライアント企業はその遂行された業務に対して報酬を支払います。
この契約は、一般的にSES契約と呼ばれることが多いですが、これは法律で定められた言葉ではなく、明確な定義があるわけではないことは理解しておきましょう。
こうしたことから、解釈に差異が出ないよう、法的な観点も含めて「準委任契約」という扱いにしているクライアント企業が多いです。

2.SESと派遣・請負とはなにが違うのか

前述したビジネスモデルを一見すると、技術者の派遣契約となにも変わらないように感じられるかもしれません。
また、クライアント企業から依頼を受けて業務を遂行するという点では、請負と混同されることもあるでしょう。
エンジニアの働き方だけを見ると、確かに似た点もありますが、根本には大きな違いがあります。
相違を簡単にまとめてみましょう。

指揮命令権の所在

一般的に派遣契約では、指揮命令権はクライアント企業側にあります。
これに対して、SES契約では、原則、指揮命令権がクライアント企業側にはありません。
たとえば、技術提供するエンジニアがクライアント企業に出向き、そこで業務にあたったとしても、クライアント企業の人間が直接エンジニアへ業務指示をすることは原則できません。
一般の派遣契約なら派遣された人員は現場の指示系統に従うことになりますので、この点はとても重要な相違点です。
SES契約の場合は、エンジニアへの指示はあくまで雇用元である契約企業からとなることを理解しておきましょう。

提供されるのは人ではなく「技術」

ポイントは、SES契約で提供されるのは「エンジニア」ではなく、「技術」そのものだということです。
報酬は技術に対して支払われるため、労働時間や期間に対して料金が発生する一般の派遣契約とはここが異なります。
一般の派遣契約では派遣人員の労働力が提供されるという考え方ですが、SES契約は似て非なるものであることをしっかり理解しておく必要があります。

請負との違いは「対象」

請負との根本的な違いは、報酬の対象にあります。請負契約の場合、報酬はあくまで成果物に対して発生するため、完成した成果物が納品されてはじめてクライアント企業は費用を支払います。
これに対してSES契約では、エンジニアに業務を完成させる義務はありません。成果物ではなく一定の技術業務に対して報酬が発生するビジネスモデルなので、多くの場合、一定の期間ごとに報酬の支払いが発生します。
以上の相違をまとめると、SES契約は、「技術」と「技術を用いた業務」そのものに対して報酬を支払う仕組みだと言えます。
このことをしっかり理解しておけば、間違いのないSES活用が可能です。

3.SES契約のメリットは何か

企業がSES契約で人員を確保するメリットは、数多くあります。
ここでは主なものをまとめます。

スキルを持つ人材を手軽に確保できる

最もメインとなるメリットは、自社が必要とする技術を、必要な時に必要な期間確保できるということに尽きます。
市場が目まぐるしく変化する現在、経営方針によって、いつどのようなスキルがどれほど必要になるか先読みが非常に困難な時代になってきました。
いざ必要となった時に、すぐにスキルを持つ人材を手元に確保できることは、言うまでもなくあらゆる企業にとって大きな武器となります。

人件費や採用コストが削減できる

現在いかなる企業においても、スキルを持つ人材の需要が発生した時のために、継続して自社内に十分な人員を抱えておくことは難しいのが実情です。
この点もSES契約を活用すれば、理想的な環境を構築することができます。
いざ人員の需要が発生した時に、必要なスキルを持つエンジニアを外部から確保して業務に充てることができるのは大きな強みです。
長い目で人件費を考えた場合、エンジニアを多数長期雇用するよりコストを削減できることは明白でしょう。

もし新たに従業員を集めるとなると、人選から雇用までの採用活動にかかるコストは膨大です。
それでも、常に最適な人材を集められるとは限りませんので、人材不足のリスク回避にも有効です。

現場で業務指示する必要がない

クライアント企業にとって、派遣されたエンジニアの指揮系統が異なる点をデメリットと捉えるのは早計です。
指揮命令権の所在がサービス提供企業にあるからこそ指示系統が明確になり、業務がスムーズに流れるようになるほうが圧倒的に多いのが現実です。
自社担当者が外部技術者を教育したり指導したりする必要もありませんので、各人員が主業務に集中できる理想的な現場環境を作ることができます。
もともとSESで派遣されるエンジニアの多くは、強い成長意欲を持っています。
これもクライアント企業にとっては大きなメリットであり、お互いに切磋琢磨し、意識の高い現場構築を実現することができるでしょう。

4.SES契約に注意点はあるか

SES契約は、平成30年10月から労働派遣法改正により禁止された「特定派遣」という形から1本化された契約形態です。
この契約では前述した通り、派遣されたエンジニアへの指揮命令権の所在はクライアント企業ではなく、雇用元に限定されます。
つまり、ここまで解説してきたように、エンジニアへの指揮命令権が雇用元にあることをきちんと理解しておけば問題はありません。
ただ、こうした法的措置を知らず、以前のようにクライアント企業側の人員が派遣エンジニアに対してなんらかの指示命令を行うと「偽装請負」となります。
こちらは法令違反行為となりますので十分注意する必要がありますが、現場をきちんと教育すれば避けられる問題と言えます。

5.まとめ

現在IT技術を持つエンジニアの需要は高いものの、総体的に人手は足りていません。企業は市場の変化に合わせて柔軟に人員確保をしなければならない局面にあり、頭を悩ませている経営者や担当部署は急増しています。
はたかなは、ITエンジニアやWebクリエイターの即戦力を提供できるサービスです。採用問題のお悩みや今回取り上げたSESの仕組みについて等些細なことでも、お気軽にご相談ください。

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