今回は「介護離職」と働き方についてのインタビューをお届けいたします。
システムエンジニアとして多忙な中、ご両親の介護が必要となり離職を決意。約9年のブランクを経て現在はPMOとして活躍しているKさんに、離職当時や復職の際の想いをお聞きしました。
インタビューを受けた方
Kさん(40代)
居住地:神奈川県
家族構成:母
職種:PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)
就業形態:契約社員
働き方:フルリモート(在宅)、週5日、6.5時間/日(時短勤務)
大学院卒業後、システム開発会社に入社しシステムエンジニアとして活躍するが、30代で父親の介護が必要になり、母親の体調悪化も伴い会社を離職。約9年の離職期間を経て40代で復職。現在は別のシステム開発会社にて契約社員として就業中。時短×在宅ワークという働き方で介護との両立を実現している。
片道2時間の通勤と昼夜を問わない介護の両立。そんな中での「最低評価」
ーー介護をきっかけに約9年離職されていたそうですね。離職前は介護と仕事を両立なさっていたのでしょうか?
Kさん:はい。2011年頃から父の様子がおかしくなり、2013年に離職するまでは自宅から都内まで片道2時間弱かけて会社に通いながら介護をしていました。
当時の仕事内容はマネジメントではなく開発側のメンバーとしてフルタイムで残業は10時間ほど。残業が増えるときは、自宅でもできるようリモートで会社のPCに繋げられるようにしてもらい仕事をしていました。
ーー通勤時間もあると、1日があっという間だったのではないですか?
Kさん:朝4時に起きて薬を飲ませたりおむつを替えたりなどを行い、6時半には自宅を出て会社へ。20時に帰宅し、介護などをして就寝は23時頃という感じでした。
ーー離職をした理由はなんだったのでしょうか?
Kさん:介護との両立という点において会社の理解を十分には得られていないなと感じたことがきっかけでした。
あるとき、直属の上司の評価は変わっていないのに社長評価が突然「最低評価」になったんです。理由をはっきり言われたわけではないですし介護だけのせいかは解りませんが、周りが残業している中で自分だけが帰っていく…それがなんとなく職場の雰囲気を乱してしまっていたのかなとは思いました。
父の介護で母の病気も悪化。親を見捨てる選択肢はなく、離職を決意
ーー残業が当たり前だった時代背景もあるのかもしれませんね…。それで離職を決意されたと。
Kさん:きっかけはそうでしたが、最終的には父の介護が原因で母の病気が悪化し始めたことですね。仕事との両立が厳しくどちらかに絞るとなった際、それはやはり親を見捨てるなんていう決断はできなくて。
ーー誰かに相談はしましたか?
Kさん:自分ひとりで決めました。周りに似た境遇の人もいなかったですし。
ーー不安は?
Kさん:それなりに貯金があったこともあり、収入が無くなるという点での不安はありませんでした。その当時は、収入とかはひとまず置いておいて、自分がそれをやらないといけないかどうかだけにフォーカスし、やると決めた感じです。
9年のブランクを経てIT業界に復職。当初はコンビニでパートを考えていた
ーーその後しばらく離職なさっていたわけですが、復職を考えるきっかけが何かあったのでしょうか?
Kさん:離職中はそれまでの貯金を生活費に充てていましたが物価高なども影響し、生活のために復職を考えはじめました。
当初はエンジニア職に戻ろうとは考えていなくて、介護との両立が可能な時間内だけ近所のコンビニなどでパート収入を得ようかと。
でも自分にとって一番「楽」なのは開発の仕事だなぁとふと思い直し、『はたかな』を含め2社の派遣会社に登録をしました。
ーーそうした結果、現在は開発の仕事ではなくPMOという職務につかれているわけですね?
Kさん:開発の仕事を望んではいましたが、ブランクがありすぎて採用されませんでした。
そんな中『はたかな』の担当キャリアアドバイザーである佐藤さんから、マネジメント側の仕事をご紹介いただき、面談の上、自分でもこなせそうな内容だと判断して今に至ります。
時短×在宅WのPMO職で、仕事と介護のバランスをキープ
ーー現在の働き方について教えてください。
Kさん:都内のシステム開発会社にて、PMOとして週5日働いています。勤務時間は1日6.5時間の時短勤務で、フルリモートのため基本的には在宅ワークをしています。
ーーご家族の介護はどのようなご状況なのでしょうか?
Kさん:8年前に父が亡くなり、現在は病気がちな母の生活のサポートをしています。世間の方がイメージするいわゆる「介護」とは少し違うかもしれませんが、通院や買い物を含め一人では難しい面も多く、一緒に行うようにしています。
ーー未経験のPMOというお仕事をされてみていかがですか?
Kさん:エンジニアとマネージャー双方の意見を繋ぐ、いわゆる中間管理職のような立場。やりたい人が多い職種とは言えないかもしれません(笑)。ですが私の場合、前職のシステムエンジニア時代にもお客様と開発メンバーを繋ぐ役目の経験があったのでそれらを活かせているとは思っています。
ーー時短でこなす工夫や秘訣はなんでしょうか?
Kさん:タイトなスケジュールの締切がある仕事は少ないので、時短勤務でも比較的難しくないと感じています。湧き出てくる案件を次から次へと捌く!といった感じですね。
ーーブランクがあるといえども開発の流れをご存知だからこそ、未経験のPMOでいま活躍なさっているのでしょうね。復職をして叶えられたことはありますか?
Kさん:必要としていた額の収入を得られたことです。
「諦めることで前に進んでいく。未来は誰にもわからないものだから」
ーー介護と仕事の両立という点で、いま抱えている課題はありますか?
Kさん:母の状態は比較的安定していて家の中のことは大抵できるので今の働き方であればあまりないです。ただ、その安定も私が家にいるという安心感の結果であり、以前のように毎日都内へ通うような働き方は正直もう難しいかと。
また、母の病院に付き添うことも多々あるためフレキシブルな勤務が出来なくなるようだと就業継続は難しいのかなと思います。
ーー「仕事と介護」で一言と言われたら?
Kさん:「諦める」ですね。10年前に介護をやるとなったときはもう半分諦めました、人生を。ある意味諦めて介護を始めたんです。考えても仕方がない、未来のことなんて誰にもわからないですから。なので今回復職するときもそこまで期待はしていなかったです。
そうしたら『はたかな』に登録して半月ほどで就職先が決定し、こんなこともあるんだなぁと(笑)。
ーー”働く”に困難や課題を抱えている方へメッセージをお願いします。
Kさん:人によって大事なものは違う。幸せを感じるものも。それにより意思決定もそれぞれ違ってくる。その人にとっての正解は、自分じゃないと見つけられないと思うので私から言えることは特にはないですね。今回就職できた自分は運が良かった。ふと登録してみたといいますか。
ーーでもそのふとした瞬間に行動したからこその今ですものね。
Kさん:それはそうですね。でも、9年もブランクがある私をよく雇ったなと思います、我ながら(笑)
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