「退職代行サービスを使って会社を即日で辞めたい」
「仕事を今すぐ辞めたいけれど、自分で退職を申し出るのは難しい」
とお悩みの方も多いでしょう。

退職代行サービスを使って、即日で辞められるケースもあります。法律上、退職するには原則2週間前の申し出が必要ですが、さまざまな方法を使えば実質的に即日で退職することは可能です。

今回は、退職代行を使って即日退職するための具体的な方法、手続きの流れ、トラブルを回避するための注意点について解説します。退職代行の選び方やおすすめの会社も紹介しますので、「今すぐ辞めたい」とお悩みの方は、次の一歩を踏み出すための参考にぜひご覧ください。

▼退職後の新たなキャリアを見つけたい方はこちら

退職代行を使った即日退職は可能

結論からいえば、退職代行を使った即日退職は可能です。ただし、いくつかの条件や知っておくべきポイントがあります。まず、会社を辞める際に即日退職が法的に許されるのか、正社員とそれ以外の場合に分けて確認してみましょう。

◆正社員の場合
そもそも民法627条1項では、正社員などの雇用期間の定めがない労働者の場合、2週間前に退職の意思を伝えれば退職できると規定されています。つまり、原則として即日退職は認められていません。ただし退職までの2週間を出勤しなくても良い状態にすることで、実質的な即日退職が可能です。

また、民法628条には「やむを得ない事由があれば直ちに契約を解除できる」とあり、退職の理由によっては、法的に問題なく即日退職できます。

◆契約社員やパートなどの場合
労働基準法137条によると、契約社員などの雇用期間に定めがある場合は、契約から1年以上経過していればいつでも即日退職が可能です。正社員と同様に、やむを得ない理由があれば契約期間内でも退職できます。(民法628条)

就業規則に「1カ月前までに退職の意思を伝える」などの規定を設けている会社もありますが、法的な拘束力はありません。民法や労働基準法などの法律が優先されます。

参照:民法627条1項 民法628条 労働基準法137条

退職代行を使って即日退職する4つの方法

ここからは、退職代行を使って会社を即日で辞めるための具体的な方法について解説します。方法は、次の4つです。

  • 退職日まで有給休暇を消化する
  • 退職日まで欠勤扱いとする
  • 会社の同意を得て即日退職する
  • 「やむを得ない理由」により即日退職する

それぞれについて詳しく解説します。

退職日まで有給休暇を消化する

最もスムーズなのは、退職代行を通じて退職の意思を伝えたあと、退職日までの期間を有給休暇で消化する方法です。有給休暇が10日しか残っていない場合でも、週休2日の会社であれば、土日を含めると14日間(2週間)が経過するため、法的にも問題なく出勤せずに退職できます。

有給休暇を取得するのは労働者の権利として保障されているので、会社側は不当に拒否できません。退職代行を利用して「残りの14日間は有給休暇を使います」と伝えれば、実質的に即日退職の状態となります。

退職日まで欠勤扱いとする

有給休暇が残っていない場合や、何らかの理由で有給休暇の取得が難しい場合は、退職日まで欠勤扱いにしてもらうのも方法のひとつです。ハラスメントなど、過度のストレスによって出勤自体が難しい状況では、体調不良として欠勤するのは自分の身を守るための手段でもあります。
退職代行を利用すれば、こうした状況の連絡も可能です。

ただし、会社に連絡せず欠勤をした場合は、懲戒処分や損害賠償請求などのリスクがある点は把握しておきましょう。トラブルを防ぐためにも、確実に欠勤の連絡をしておきましょう。

会社の同意を得て即日退職する

会社の同意を得て即日退職する方法もあります。

退職代行を通じて退職の意思を伝え、会社側が「すぐに辞めても構わない」と同意すれば、2週間の期間を待たずに即日退職できます。人材が足りている企業や、特別な引き継ぎが必要ない場合では、会社側が即日退職に合意するケースも少なくありません。

「やむを得ない理由」により即日退職する

原則として正社員の即日退職は認められていませんが、例外もあります。体調不良などのやむを得ない理由がある場合は、即日退職できる可能性があります。契約社員やパートなどの期間の定めがある契約でも、特別な事情があれば即日退職が可能です。(民法628条)

「やむを得ない理由」には、次のような理由が該当します。

  • 職場でいじめやハラスメントを受けている
  • 心身の健康に問題がある
  • 家族の介護や看病に専念しなければならない
  • 未払いの賃金や残業代がある
  • 業務が法令に違反している

継続して働き続けられない特別な事情があれば、2週間を待たずに即日退職が認められるのが一般的です。

退職代行を使って即日退職する流れ

退職代行を利用して即日退職するまでの一般的な流れは、以下のとおりです。

STEP1.電話・LINE・メールで相談する
STEP2.料金を支払う
STEP3.打ち合わせをする
STEP4.代行業者が退職の連絡をする
STEP5.退職手続きをして会社の備品を郵送で返却する
STEP6.会社から離職票などを受け取る

各ステップについて、それぞれ解説します。

STEP1.電話・LINE・メールで相談する

まずは退職代行サービスに電話、LINE、メールなどで最初の相談をします。多くの場合、初回相談は無料です。24時間対応している退職代行業者も多いので、深夜や休日でも相談できます。現在の状況や今後の希望を伝えたら、その後のトラブルを防ぐために次の点を確認しておきましょう。

  • 支払い方法や追加料金の有無
  • 即日退職の可否
  • 退職までの手順
  • 私物の回収方法や備品の返却方法
  • 退職に関する書類の受け取り方法

複数の退職代行業者に相談して、対応や費用などを比較・検討することも大切です。現在の状況に最適な対応をしてもらえる業者を選びましょう。

STEP2.料金を支払う

利用する退職代行業者を決めたら、料金を支払います。多くの退職代行サービスでは、前払い制が採用されています。中にはクレジットカード決済や後払いが可能な業者もあるため、事前に確認しておきましょう。

STEP3.詳細な打ち合わせをする

支払いが済んだら、より詳細な打ち合わせに進みます。この段階では、具体的なヒアリングがあるので、以下の情報を準備しておくと手続きがスムーズに進められます。

◆必要な情報の例

  • 依頼者の氏名・生年月日・電話番号・住所
  • 会社の名前・所属部署・電話番号・住所
  • 直属の上司や人事担当者の名前・連絡先
  • 雇用形態(正社員・契約社員・パートなど)・勤続年数・契約期間
  • 退職希望日
  • 退職の理由
  • 有給休暇の残日数
  • 退職金や未払い賃金の有無
  • 会社に返却する備品リスト
  • 職場に残っている私物リスト

会社に伝えてほしいことや連絡を希望する日時があれば、あわせて伝えておきましょう。

STEP4.代行業者が退職の連絡をする

退職代行業者が、会社に退職の意思を伝えます。このとき、退職希望日や有給休暇の消化の希望なども連絡します。会社から直接本人に連絡があった場合でも、その旨を退職代行業者に伝えれば対応してもらえるので、自ら対応する必要はありません。
退職代行業者からの連絡を待ちましょう。

STEP5.退職手続きをして会社の備品を郵送で返却する

退職が決まったら、退職手続きに進みます。退職届などの書類を提出し、会社の備品を郵送や宅配便などを使って返却します。

退職届は法的に義務づけられていませんが、提出することで確実に意思を伝えられます。原則として本人が書き、郵送するとスムーズです。トラブルが心配な場合は内容証明をとっておく方法もあります。

【関連記事】パートを辞める時に退職届は必要?書き方を例文付きで解説!マナーや注意点も

STEP5.会社から離職票などを受け取る

退職手続きが完了すると、会社から離職票や雇用保険被保険者証、源泉徴収票などの書類が郵送されます。これらの書類は失業給付の申請や次の就職時に必要となるため、大切に保管しておきましょう。

書類が届かない場合や内容に不備がある場合は、退職代行業者を通じて会社に問い合わせてみましょう。

退職代行を使った即日退職でトラブルを避けるためにしておくこと

退職する際は、次の準備をしておくことで後々のトラブルを防げます。

  • 引き継ぎ資料を用意しておく
  • 就業規則や雇用契約書の内容を確認しておく
  • 会社の備品は返却し私物は持ち帰る

順に解説します。

引き継ぎ資料を用意しておく

即日で退職する場合、業務の引き継ぎができません。可能な限り引き継ぎ資料を用意しておくと、その後の業務に支障が生じるのを回避できます。

引き継ぎが不十分だと、最悪のケースでは損害賠償を請求されるおそれもあります。例えば、商談の日時を共有していなかったために破談になったなど、会社に大きな損失を発生させた場合です。

自分ひとりで担当している業務があるときは、資料やメモ書きを残しておけば会社の負担を最低限に抑えられ、トラブルも避けられます。

就業規則や雇用契約書の内容を確認しておく

退職前に勤務する会社の就業規則や雇用契約書の内容を確認しておきましょう。退職金の有無や計算方法、退職後の給与の受け取り方法などについて把握しておくと、手続きをスムーズに進められます。

会社の備品は返却し私物は持ち帰る

会社から借りているパソコンやスマートフォンなどは持ち帰らず、職場に置いておきましょう。制服など、退職当日に返却できないものは後日郵送や宅配便などを利用して、確実に返却します。あらかじめ貸与物をリストアップしておくと、抜け漏れがありません。

また、職場に置いている私物は、退職前に少しずつ持ち帰っておくと安心です。取りに行けない場合は、退職代行を通じて会社に着払いで郵送を依頼するか、家族や同僚に回収してもらう方法があります。

退職代行で即日退職する場合の注意点

退職代行業者を選ぶときは、次のポイントを確認しておきましょう。

  • 民間の退職代行業者は会社側と交渉できない
  • 公務員は民間の退職代行を使えないケースがある
  • 悪徳業者ではないか慎重に検討する

それぞれ解説します。

民間の退職代行業者は会社側と交渉できない

退職の連絡をしたとき、会社側から協議や交渉を求められるケースがあります。例えば、「引き継ぎ期間を設けてほしい」「具体的な退職理由を聞かせてほしい」といった内容です。

退職代行業者には大きく分けて3種類あり、民間企業、弁護士、労働組合のいずれかによって運営されています。民間企業の運営による業者は料金が比較的安価ですが、会社側と協議や交渉をする法的な権利がありません。依頼者に代わって交渉することは、法律上の「非弁行為」に当たるためです。

一方、弁護士や労働組合が運営する業者は、料金はやや高めでも退職条件の交渉や未払い賃金の請求など、あらゆる交渉が可能です。労働組合が運営している場合も、団体交渉権をもっているため退職に関して会社側と交渉できます。

会社側との交渉が必要なときは、弁護士や労働組合によって運営されている退職代行業者を選びましょう。

公務員は民間の退職代行を使えないケースがある

公務員の雇用は民間企業とは別の法律で規定されており、退職手続きも異なるため、民間の退職代行サービスでは対応できないケースがあります。公務員が退職する際は、任命権者の許可を得るなどの手続きが必要です。任命権者とは、国や地方公共団代の長などを指し、こうした人からの承認が求められます。

公務員が退職を希望する場合は、民間ではなく、弁護士による退職代行サービスを選びましょう。弁護士であれば、本人を代理したあらゆる手続きが可能です。

悪徳業者ではないか慎重に検討する

退職代行業者の中には、悪質な業者もいます。業者を選ぶ際は、トラブルにあわないように以下の点をチェックしましょう。

  • 見積もりがわかりにくい
  • 弁護士や労働組合の運営ではないが「会社と交渉可能」とうたっている
  • 運営元が明らかでない

あとで高額な追加料金を請求されるケースもあります。退職代行サービスを選ぶときは、公式サイトの情報だけでなく、口コミやレビューも参考にして慎重に検討しましょう。

即日退職できる退職代行サービスの選び方

ここでは、即日退職を希望するときの退職代行サービスの選び方を解説します。次のポイントに注目して、現在の状況に最適な業者を選びましょう。

  • 「即日退職」の表記があるか
  • 協議や交渉ができるか
  • 相場と比べて費用が安すぎ・高すぎないか

それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。

「即日退職」の表記があるか

即日退職を希望するときは、公式サイトに「即日退職」の表記があるかどうかを確認しましょう。

ここで注意したいのは「即日対応」と「即日退職」の違いです。「即日対応」は、申し込みを受けつけてから業務を始めるまでが即日との意味で、退職日が即日となるかは別です。

協議や交渉ができるか

会社側との交渉が必要になりそうな場合は、法的に交渉が可能な弁護士や労働組合が運営する業者を選びましょう。

民間企業の運営による業者は料金が比較的安価ですが、会社との交渉ができず「退職の意思を伝える」業務に限られます。一方、弁護士や労働組合が運営する業者は、料金は高めでもあらゆる交渉が可能です。

未払い賃金の請求やハラスメントに対する慰謝料を請求したいなど、複雑な問題が生じているケースや、公務員の退職では、交渉力の高い弁護士による退職代行サービスを選ぶと安心です。労働組合による業者は、弁護士ほど幅広い依頼はできませんが、安価で有給休暇の取得や未払い残業代の交渉に対応してもらえます。

相場と比べて費用が安すぎ・高すぎないか

相場と比較して利用料金が安すぎたり高すぎたりする場合は、悪質な業者である可能性があるため、注意が必要です。退職代行サービスの料金の相場は2〜5万円程度で、運営元によっても傾向が異なります。

◆退職代行サービスの利用料金の相場

運営元利用料金の相場
民間企業1万~3万円ほど
労働組合2万~3万円ほど
弁護士5万~10万円ほど

これらと比べて大幅に安い、または高い場合は、注意しましょう。料金を比較する際は、次のような追加料金が発生しないかどうかも、あわせて確認しておくと安心です。

  • 迅速に対応するための料金
  • 深夜の連絡に対応する料金
  • 有給休暇消化などの交渉料金

労働組合が運営元の場合は労働組合の加入金、弁護士の場合は印紙代などの経費が追加で請求されるケースもあります。

基本料金だけでなく追加料金の有無なども確認し、トータル費用で比較・検討して業者を選びましょう。一律料金で利用できる業者を選べば、トラブルも避けられます。

即日退職をサポートする退職代行サービス4選

ここでは、即日退職をサポートしてくれるおすすめの退職代行業者を紹介します。今の状況や予算に合った業者を検討してみてください。


◆退職代行ガーディアン

運営元東京労働経済組合
料金2万4,800円
相談方法LINE、電話
職場との交渉の可否
特徴・労働組合による運営
・クレジットカード決済、銀行振込が可能

◆退職代行Jobs

運営元株式会社アレス
※合同労働組合ユニオンジャパンと連携
料金2万7,000円
※労働組合費2,000円が別途必要
相談方法LINE、メール
職場との交渉の可否
特徴・労働組合と提携した民間企業による運営
・顧問弁護士監修による適正業務
・クレジットカード決済、コンビニ決済など

◆フォーゲル綜合法律事務所

運営元フォーゲル綜合法律事務所
料金3万3,000円~
※プランにより異なる
相談方法LINE、メール
職場との交渉の可否
特徴・弁護士による運営
・退職日から60日間のアフターフォローあり
・クレジットカード決済、後払い可能

◆退職代行モームリ

運営元株式会社アルバトロス
※労働環境改善組合と提携
料金・正社員・契約社員:2万2,000円
・アルバイト:1万2,000円
相談方法LINE、メール、電話
職場との交渉の可否
特徴・労働組合と提携した民間企業による運営
・顧問弁護士監修による適正業務
・クレジットカード決済、コンビニ決済など

自分に最適な職場に転職したい方におすすめの人材派遣・紹介サービス「はたかな」

退職代行を利用した即日退職は可能で、実際に多くの方が活用しています。特に、職場でのストレスやハラスメントに悩んでいる方、体調を崩している方にとって、退職代行サービスは自分を守るためにも有効な手段といえます。

退職後の新たなキャリアをお考えの方は、人材派遣・紹介サービスはたかなをぜひご検討ください。「はたかな」では転職を希望する方のご希望に合わせた求人をご紹介し、伴走しながら最適な働き方を一緒に探していきます。プライベートとのバランスを重視したい方、これまでのスキルを最大限に発揮できる職場を見つけたい方は、一度お気軽にお問い合わせください。

▼はたかなを知りたい、仕事情報をご希望の方はこちら