「パートを辞めたいけど上司に言えない」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
始めたばかりなのに辞められるのか不安という人や、トラブルなく退職する方法が知りたいという人のために、この記事では次の内容をお伝えします。
- パートを辞めるための法的な条件
- 辞めたいと言えないときのおすすめの退職方法
- パートを円満に辞めるコツ
職場に辞めたいと伝える前に、今一度チェックしておきたい点についても解説します。
ぜひ、参考にしてみてください。
パートを辞めたいと言えない理由とは
「パートを辞めたいけど上司に言えない」という理由には、主に次の4つがあげられます。
- 始めたばかりで言いづらい
- 退職日まで気まずくなるのが辛い
- 職場の人手が足りていない
- 次の仕事が見つかるか不安
始めたばかりで言いづらい
パートを始めたばかりで、辞めたいと言い出せないという場合もあります。
採用されたものの実際に業務を始めてみたら、「募集時の条件と違った」「職場の雰囲気が合わない」など、続けていくのは難しいと感じるケースもありえます。
退職日まで気まずくなるのが辛い
退職の意思を伝えてから退職日までの間、職場で気まずくなることを心配して言い出せない場合もあります。
職場で孤立してしまうのではないかと、職場の人間関係の悪化を心配する人もいるでしょう。
職場の人手が足りていない
人手が足りていない職場では、自分が辞めたら迷惑をかけてしまうと考える人は多いでしょう。
職場の人手が足りていないのは会社の問題とわかっていても、決断を渋ってしまうところです。
次の仕事が見つかるか不安
今のパートを辞めたら次の仕事が見つからないかもしれないと心配して、辞めたいと言い出せないこともあるでしょう。
希望条件に合った求人があるのか、新しい業務を覚えられるのか、人間関係を作っていけるかなど、不安はさまざまです。
パートの給与がなくなることによる家計への心配もあるでしょう。
パートを辞めたいと言えない・・・いつ辞められる?
パートを辞めるには、どのくらい前に会社に伝えればよいのでしょうか。
◆退職するための条件の違い
雇用期間の定め | 主な例 | 退職できる条件 |
あり(有期雇用) | パート・アルバイト | ・やむを得ない理由がある場合 ・契約初日から1年以上経過した場合 ・入社前と条件が異なる場合 |
なし(無期雇用) | 正社員 | ・2週間前に退職を申し入れた場合 ・入社前と条件が異なる場合 |
正社員などは雇用期間に定めがなく、パート・アルバイトなどは、6か月や1年間単位で雇用期間が定められているケースが一般的です。
退職するための条件は、雇用期間の定めの有無によって異なるため、それぞれのケースに分けて詳しく見ていきましょう。
雇用期間に定めがある場合(有期雇用)
一般的にパート・アルバイトや契約社員は、6か月や1年間単位などで雇用期間を定めた契約です。

出典:厚生労働省 有期契約労働者の無期転換ポータルサイト
この場合、原則として期間中は退職できませんが「やむを得ない理由」がある場合に限り、ただちに解約できるとされています。(民法 第628条)
「やむを得ない理由」とは、次のようなケースです。
- 賃金の不払い
- 体調不良
- 家庭の事情
- パワハラなど職場でのハラスメント
「やむを得ない理由」は、緩やかに解釈される場合が多いようです。
なお、パート・アルバイトでも契約期間の初日から1年以上経過したら、いつでも自由に退職できるという規定があります。
例外として、専門的知識を有する労働者、60歳以上の労働者との有期契約では適用されません。(労働基準法 第137条)
損害賠償を請求される?
有期雇用契約で契約期間を満たさずに辞める場合、損害賠償請求される可能性もあります。
労働者側の一方的な過失で退職してしまったり、引き継ぎが不十分で会社に損害を与えたりした場合は、損害賠償の支払いを求められるリスクがあります。
まれなケースですが、誠実な対応を心がけましょう。
雇用期間の定めがない場合(無期雇用)
正社員など期間に定めがない雇用契約の場合、2週間前に会社に伝えれば退職できます。
民法 第627条第1項では、雇用の期間に定めがない場合、退職の申し入れをしてから2週間が経過すると、雇用契約が終了するとの規定があります。参考:日本労働組合総連合会
勤務中の会社の就業規則に「2週間以上前に申し入れる」という趣旨の規定がある場合でも、原則として民法の規定が優先されるため、2週間以上前でなくても退職が可能です。
ただし、完全月給制など期間に応じて報酬が決められている場合は、月の前半に退職の意思を伝える必要があります。(民法 第672条第2項)
場合によっては即日退職もできる
雇用契約期間の有無に関係なく、給与や業務内容などの条件が入社前に伝えられたものと異なっていた場合は、ただちに退職できるという規定があります。
この場合は、損害賠償請求されるおそれはありません。(労働基準法 第15条第2項)
そのほか、会社側が合意すれば、即日退職できる場合もあります。
パートを辞めたいけど言えないときのおすすめ退職方法

パートを辞めたいけれど言えない場合、おすすめの退職方法は次の2つです。
- 角が立たない理由で伝える
- 退職代行サービスを使う
それぞれ見ていきましょう。
角が立たない理由で伝える
パートを辞めたいけれど、ありのままの理由を伝えるのに抵抗がある場合、周囲が納得しやすく角の立たない理由で伝えるのがおすすめです。
具体的には、次のような伝え方があります。
- 家庭と仕事の両立が難しい
- 子どもが体調を崩しやすい
- 親の面倒を見なければいけない
- 正社員の仕事に転職する
家庭と仕事の両立が難しい
家事や子育てと仕事を両立させられるかどうかは、実際に働いてみなければわからない場合もあります。
実際に働いてみたら業務内容がハードで、家事や子育てに支障がでてしまったという場合も少なくありません。
家庭の事情は職場では追究しにくいこともあり、納得してもらいやすい理由です。
子どもが体調を崩しやすい
子どもが体調を崩して出勤できない、または学校や園からたびたび呼び出されるなど、子育て中の働くママにはよくある話です。
たびたび出勤できないことにより、職場に迷惑をかけてしまうという理由は、周囲も理解しやすいでしょう。
親の面倒を見なければいけない
親が高齢になり通院に付きそう機会が増えた、日常的に家事を手伝わなければならなくなったなど、親の身の回りの世話をするために働き方を変えなければならない場合もあります。
家庭環境や親族の体調に関する事情は、納得してもらいやすい理由です。
正社員の仕事に転職する
子どもの成長にともない、勤務時間を伸ばして給与も増やしたいと、正社員の仕事に転職したいというケースもあります。
前向きなチャレンジは、理解を得やすいでしょう。
退職代行サービスを使う
自分で退職の意思を伝えるのが難しい場合は、退職代行サービスを利用するという手段もあります。
退職代行サービスとは、有料で労働者の代わりに退職の意思を会社に伝えるサービスです。
自分自身で上司に伝えられるのが理想ですが、次のような場合は退職代行サービスを検討してみるのがおすすめです。
- 辞めたいと伝えても引きとめられる
- パワハラ被害に遭っている
- 会社から脅され圧力をかけられている
退職代行サービスを利用するうえで、依頼するサービスの内容には注意しましょう。
一般企業である退職代行サービスが、退職の意思の伝える以外に、会社と退職条件を交渉したり賃金の未払い請求をしたりする行為は、弁護士法に抵触する可能性があります。
会社側と交渉が必要な場合は、一般の企業が運営する退職代行サービスではなく、労働組合や弁護士が運営する退職代行サービスに依頼しましょう。
ちなみに、費用の相場は2万~10万円です。一般企業や労働組合が運営する退職代行サービスを利用するには2万~6万円ほど、弁護士に依頼する場合は5万~10万円ほどかかります。
トラブルなく円満にパートを辞めるコツ

パートを円満に辞めるコツは、次の3つです。
- できるだけ早く上司に伝える
- 職場への不満は口にしない
- 十分な引き継ぎをしておく
できるだけ早く上司に伝える
退職を決めたら、できるだけ早く上司に伝えるのがおすすめです。早めに伝えておくことで、会社は次の人材を確保する時間ができます。
また、1~2か月前に伝えることが理想的です。他の人に負担がかからないよう配慮すれば、退職日まで気まずくなるのを避けられるでしょう。
職場への不満は口にしない
上司に退職の理由を伝えるとき、職場に対する不満は口にしないようにしましょう。
業務内容や待遇などの不満を伝えると口論になる可能性があり、気持ちよく退職できなくなるおそれがあります。
角の立たない理由を伝えることで、円満に退職できるでしょう。
十分な引き継ぎをしておく
退職の意思を伝えたあとは、業務の引き継ぎが大切です。
マニュアル化する必要がある場合は、その分の時間も必要です。責任を持って十分な引き継ぎ業務をすれば、同じ職場の人たちの負担を最低限に抑えられます。
パートを辞めたいと伝える前に試してみること
パートを辞めるか続けるか、判断に迷っている場合は、次の3つを試してみるのもおすすめです。
- 部署の異動希望を申し出る
- 勤務条件を相談してみる
- 試用期間満了まで続けてみる
次の仕事を探す前に、今一度検討してみましょう。
異動の相談をする
現在の職場の業務内容や仕事量などにストレスがあり、社内で自分に適した部署や部門があると考えている場合は、異動したいと希望を伝えてみる方法もあります。
希望部署に空き状況や上司の判断もあり、希望が通らない場合もありますが、退職を考える前に相談するのもよいでしょう。
勤務条件について相談してみる
勤務時間や出勤日などが都合が悪くなった場合には、調整してもらえないか上司に相談してみるのもよいでしょう。
職種によっては、部分的にリモートワークを取り入れたりできるケースもあります。
試用期間満了まで続けてみる
入ったばかりだけど辞めるか迷っている場合は、試用期間が終わるまで続けてみるという方法もあります。
一般的な試用期間は3か月間です。その間に業務に慣れてきたり、職場の印象が変わったりする可能性もあります。3か月間続けてみたところで、続けるか辞めるかの判断をしてみるのもよいでしょう。
早急な退職が必要な場合もある
パワハラや嫌がらせを受けている場合は、会社の人事部や社内相談窓口に相談しましょう。
社内には相談しにくい場合は、労働基準監督署にある総合労働相談コーナーや法テラスなどの外部相談窓口もあります。
職場のストレスによって体調が悪くなってしまっている場合は、早めの判断が必要です。
自分の体調を第一に考え、職場から離れることを優先させましょう。
まとめ
パートを辞めたいけど言えないと悩む原因には、始めたばかりで言いにくい場合や、職場が人手不足である場合などさまざまです。
雇用期間に定めがあるパートやアルバイトでは、原則として契約期間中は退職できませんが、「やむを得ない理由」がある場合はいつでも退職できる規定があります。
また、契約後1年以上働いている場合には、いつでも自由に退職できるとされています。
円満にパートを辞めるためには、できるだけ早めに角の立たない理由で伝えるのがおすすめです。
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