子育てと仕事を両立させるために働き方を見直すには、さまざまな方法があります。どのような働き方を選ぶのがベストなのか迷うところですよね。
今回は、子育てと仕事を両立させやすい働き方について解説します。子育てしやすい職場を見つける方法や、実際に働き方を見直した人の実例も紹介します。
最適な働き方を見つけるヒントとして、参考にしてみてください。
子育てのために働き方を見直す人は多い
子育てをきっかけに働き方を見直す人は少なくありません。
内閣府男女共同参画局が行った調査では、第1子出産を機に離職した女性の割合は46.9%と、半数近くを占めました。仕事をやめた理由として最も多かったのは、「子育てをしながら仕事を続けるのは大変だったから」というもので52.3%でした。
子育て後の再就職に関する調査によると、子育てを機に退職したあとの再就職では雇用形態としてパートを選んだ人は全体の57.9%と最も多く、正社員の23.9%を大幅に上回る結果となりました。
子育てと仕事を両立するハードルの高さから、働き方を変えざるをえない人が多い現実が、これらの調査結果から読みとれます。
参考:内閣府男女共同参画局 平成30年11月「第1子出産前後の女性の継続就業率」及び出産・育児と女性の就業状況について
参考:独立行政法人 労働政策研究・研修機構 2008年「子育て後の女性の再就職に関する調査研究結果」
子育てと仕事を両立させやすい働き方
子育てと仕事を両立させやすい働き方には、次の7つがあげられます。
- 勤務時間を調整する
- 短時間正社員で働く
- パートタイムで働く
- 派遣で働く
- リモートワークで働く
- ハイブリッド型で働く
- フリーランスで働く
ひとつずつ見ていきましょう。
勤務時間を調整する
勤務時間を調整する制度には、次の2つがあります。
- 短時間勤務制度
- フレックスタイム制度
短時間勤務制度
短時間勤務制度とは、1日の勤務時間を6時間まで短縮できる制度です。現在、3歳未満の子どもがいて、1日の勤務時間が6時間以上の場合に適用され、正社員以外にも契約社員やパートなど、雇用形態に関係なく活用できます。
勤務先の就業規則によっては、「入社後1年以上が経っている」「週に3日以上勤務している」などの個別の条件が設定されているケースもあります。
◆メリット
- 保育園や幼稚園の送迎がしやすい
- 子どもとの時間が増やせる
フレックスタイム制度
フレックスタイム制度とは、あらかじめ決められた1か月の総労働時間の中で、始業時間や終業時間を自由に決められる制度です。会社によっては、必ず全社員が勤務していなければいけない時間(コアタイム)が定められている場合もあります。
◆メリット
- 日によって柔軟に勤務時間を調整できる
- 子どもの体調不良や通院、園の予定などに対応しやすい
短時間正社員で働く
短時間正社員とは、勤務時間や勤務日数が短い契約で採用されている正社員を指します。一般的に、給与の算定方法などはフルタイムで契約している社員と同じです。
子育てだけでなく、介護や健康上の理由などで利用する人もいます。
◆メリット
- 短時間でも正社員としての待遇を得られる
- 子どもの年齢制限がない
パートタイムで働く
パートとして働くなら、幅広い選択肢の中から勤務時間や日数を選べます。一定の加入条件を満たせば、社会保険にも加入できます。
ただし、正社員と比較すると給与は少なく一般的にはボーナスもないので、多くの収入は望めません。
◆メリット
- 勤務時間の選択肢が多い
- 自宅の近所でも仕事を見つけやすいので、通勤時間を短縮できる
派遣で働く
派遣とは、派遣会社に登録して条件に合う企業を紹介してもらい、あらかじめ定められた期間だけ働くというものです。勤務時間や日数は、派遣先の企業によってまちまちで、一般的にパートより給与は高めです。
派遣先の企業によっては、正社員に登用してもらえる可能性もあります。定められた期間が終了して更新されない場合は、また別の勤務先を探さなければなりません。
◆メリット
- スキルや条件に合った会社を紹介してもらえる
- パートと比べると時給が高めで福利厚生が充実している
リモートワークで働く
出社せず自宅などで働けるリモートワーク(在宅勤務)制度を導入している企業もあります。通勤がないので、出社型と比べると家事や子育てのために使える時間が増えます。
現職が出社型であっても、リモートワークを取り入れられないか交渉するのもひとつの方法です。
◆メリット
- 通勤時間がない分、家事や子育てのために時間を使える
- 子どもの体調不良でも対応しやすい
ハイブリッド型で働く
ハイブリッド型とは、出社とリモートワークを混ぜた働き方です。たとえば、1週間のうち、3日は出勤して2日は在宅で働くといったスタイルです。出社とリモートワーク、両方のメリットを得られるバランスのよい働き方といえます。
◆メリット
- フル出社よりも子どもとの時間を確保しやすい
- フルリモートより社内コミュニケーションが取りやすい
フリーランスで働く
実績があれば、フリーランスとして独立するのも選択肢のひとつです。働く時間や仕事量などをコントロールできるので、子育てとバランスを取りながら働きやすいでしょう。
◆メリット
- 時間の融通が利きやすく、園の送迎や子どもの体調不良に対応しやすい
- 仕事量や時間を調整できる
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子育て中に働き方を見直すタイミングや理由
子育てをするために働き方を変えるタイミングや理由には、次のようなものがあげられます。多くの場合、子どもの年齢や成長が働き方を見直すきっかけになります。
◆見直しのきっかけになりやすいタイミング
年齢 | 特徴 |
妊娠時 | 体調が不安定になりやすい |
0~4歳 | 園での生活で感染症にかかりやすい |
5~6歳 | 体力や免疫がついてきて体調不良が減ってくる |
7~8歳 | 身の回りのことを一通りできるようになる |
10~12歳 | 地域によっては学童保育の対象から外れる |
13歳~ | 部活動などが始まり下校時間が遅くなる |
◆理由
現在の働き方を見直す理由には、次のようなものがあげられます。
- 子どもと過ごす時間を確保したい
- 園の送迎時間に合わせたい
- 子どもの体調不良にも対応しやすい環境にいたい
- 自分の体力をセーブしたい
- 子どもが学校にいる時間が長くなったのでもっと働きたい
- 子どもと程よい距離を保ちたい
体の成長だけでなく、子どもとの精神的な関係性の変化に応じて、働き方を見直していくこともあります。
子育てしながら働きやすい仕事を見つける方法
子育てと仕事を両立させやすい仕事を見つけるには、次のポイントをチェックしましょう。
ポイント1.子育てに理解がある職場か
ポイント2.自宅から近い・通勤しやすいか
それぞれ見ていきましょう。
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ポイント1.子育てに理解がある職場か
子育てと仕事を両立させるためにチェックしたいのは、会社が子育てに理解があるかどうかです。
具体的には、次の点を確認しましょう。
- 育児休暇などの制度や利用実績があるか
- 有給休暇の取得率はどのくらいか
- フレックスタイムやリモートワークが導入されているか
- 女性社員や女性管理職の割合はどのくらいか
- 企業内保育所(社内託児所)があるか
- 公的な認定を取得しているか
育児休暇などの制度や利用実績があるか
子育てと仕事を両立させるための制度の内容や、実際に利用された実績があるか確認しましょう。
企業によっては、国が義務付けている内容よりも手厚い制度を独自に設けているケースもあります。過去に利用された実績を見てみると、制度を利用しやすい雰囲気があるのか確認できます。企業のホームページや厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」でチェックしてみましょう。
有給休暇の取得率はどのくらいか
有給休暇の取得率は、企業がどのくらいワークライフバランスを重視しているかの指標になります。休みを取りやすい流れがあれば、子どもの行事や体調不良時も休みやすくなります。
2023年に厚生労働省が全国の民間企業に対して行った調査によると、労働者1人あたりの年次有給休暇取得率の平均は、62.1%でした。有給休暇の取得率は、企業のホームページや厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」などで確認できます。
参考:厚生労働省「令和5年 就労条件総合調査の概況」
フレックスタイムやリモートワークが導入されているか
就業時間を自由に調整できるフレックスタイム制度や、自宅から遠隔で働けるリモートワークが導入されているか、チェックしておきましょう。柔軟な働き方ができる環境であるかどうかは、子育てと仕事を両立させるうえで重要なポイントです。
女性社員・女性管理職の割合はどのくらいか
女性社員や女性管理職が多い職場は、子育てへの理解が深い傾向にあります。子育てをしながら仕事をしていくための経験談や、さまざまなアドバイスももらいやすいでしょう。
企業のホームページや厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」などでチェックできるので、参考に見てみるのがおすすめです。
企業内保育所(社内託児所)があるか
企業内保育所とは、所属する社員が就業中に子どもを預けられる施設で、社内や近隣に設けられているものです。自宅や職場から離れた保育園へ送迎する時間や労力もかからず、出勤と同時に子どもを預けられ、子どもに何かあってもすぐにかけつけられる利便性のよさが特長です。
産後、保育園を探す手間もかかりません。
公的な認定を取得しているか
国による認定を受けているか、確認してみましょう。女性が活躍している職場や、子育てと仕事の両立をサポートしている職場として認定されると、厚生労働省から認定を受けられる制度があります。
◆認定制度の一例
取得できる認定マーク | 認定の対象 |
「えるぼし認定」 | 女性の活躍に関する取りくみが優良な企業 |
「くるみん認定」 | 子育てと仕事の両立をサポートする企業 |
出典:厚生労働省
「えるぼし認定」企業の一覧はこちらから、「くるみん認定」企業の一覧はこちらからチェックできます。国から認定を受けている企業は、子育てしながら働きやすい環境が整っている可能性が高く、ひとつの目安にできます。
ポイント2.自宅から近い・通勤しやすいか
自宅と職場の距離や通勤のしやすさも、重要なチェックポイントです。
自宅から近ければ、通勤時間を短縮できて、家事や子どものお世話に時間をかけられます。職場が離れていると、就業中に園や学校から子どものお迎えを頼まれた場合に時間がかかってしまうなどの不安が残ります。
通勤時間が短く、通いやすいエリアに職場があると理想的です。
子育てと仕事を両立させるための注意点
子育てと仕事を両立させるには、働き方以外にも注意したい点があります。
- パートナーと家事を分担する
- 行政や民間のサポートサービスを利用する
パートナーと家事を分担する
子育てや家事は、パートナーと役割分担しましょう。長く続く子育てをひとりですべて担うのは、現実的ではありません。家事が不得意でも、できそうな小さいことから担当してもらえるよう話し合いましょう。
「ひとりでやったほうが早い」とすべてを抱えこんでしまうと、いつか疲弊してしまうかもしれません。
行政や民間のサポートサービスを利用する
次のような行政や民間のサービスも活用しましょう。
- ファミリーサポート
- 保育園・幼稚園・こども園の一時保育
- 家事代行
- ベビーシッター
行政では、各自治体が運営している「ファミリーサポート」があります。
サポート内容は自治体によって異なりますが、一般的には事前登録をしておけば0~12歳の子どもがいる家庭を対象に、子どもの預かりや園や学校への送迎などのサポートが受けられます。料金は、1時間あたり500~1,000円ほどです。
お住まいの自治体が運営するファミリーサポートセンターは、こちらから調べられます。
出典:厚生労働省 ファミリーサポート(子育て援助活動支援事業)
保育園や幼稚園、こども園でも、一時保育を受けつけています。仕事や緊急の用事以外に、ひとりで心身のリフレッシュをしたいときにも利用できます。通園していなくても利用できる場合もあるので、自治体のホームページなどを見てみるのがおすすめです。
民間の家事代行やベビーシッターなどを利用する方法もあります。費用相場は1時間あたり2,000円以上とやや高めですが、サポートの幅が広く、さまざまなプランが用意されているのが特長です。
保育園の送迎対策については、こちらの記事もご覧ください。
「保育園の送り迎えのストレスを減らす対策7選!」
子育てのために働き方を変えた実例紹介
子育てと仕事を両立させるために、実際に働き方を変えた人の例を3つ紹介します。
フル出社の時短勤務からリモートワークへ転職(T.Mさんの例)
■家族構成
夫・子ども2人(小学2年生・3歳)
■働き方を変えた経緯
子育てと仕事の両立に不安を抱き、フル出社していたWeb関連会社での時短勤務からリモートワークができる仕事へ転職。
■変えてよかったこと
リモートワークで子どもの帰宅直前まで勤務しているため、子どもを「おかえり」と迎えられる。子どもと過ごす時間を確保でき、子どものメンタルも回復した。
子どもの中学入学で短期パートから時短社員へ(Sさんの例)
■家族構成
夫・子ども2人(中学1年生・小学3年生)
■働き方を変えた経緯
出産を機に人材派遣会社を退職し、子どもが小さいうちは短期パートなどで勤務。
長男が中学に入学するタイミングで、親離れ・子離れの時期がきたと感じ、本格的に仕事復帰するため時短社員(週3日、10〜16時)へ転職。
■変えてよかったこと
仕事をする姿を見せることで、子どもと程よい距離感で接することができる。「家族のためにも自分を好きでいたい」という思いをかなえられた。
妊娠をきっかけに在宅・時短の派遣社員へ転職(Y.Aさんの例)
■働き方を変えた経緯
2人目妊娠でIT講師を退職しフリーランスへ転身するも受注が難しく、時短・リモートワークのパート派遣へ転職。
■変えてよかったこと
時短で働ける「パート派遣」という働き方に出会いスキルアップも実現できた。
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子育てをするために働き方を見直すには、現職で勤務時間を調整する方法のほか、よりフレキシブルに働ける職場に転職する方法があります。働く人、家庭によって、見直し方はさまざまです。
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